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刺身と寿司はまずくさせない料理である

つまり、刺身と寿司は素材そのものを提供する料理だということ。寿司は実に単純な料理です。『米と魚の組み合わせたもの』、ただそれだけ。
しかし、しかし・・・・・たかが寿司、されど寿司・・・・・・といいたくなるほど難しい。

最近、つくづく思う。どうしてこんな単純な料理に、これほどまで『おいしさの違い』が発生するのだろう。『実体のおいしさ』だけを言えば、答えは鮮度にいきつく。

これしかない!これほどまで店によって寿司のおいしさが違うのは鮮度が違うからである。つまり、鮮度維持は難しいということの証明だ。

 

『花まるの生命線は鮮度だ』と言い続けている。鮮度だけはどこにも負けてはならない。鮮度の落ちた魚はもうおいしくならない!
我々はしっかり認識するべきだ。寿司は『おいしくする料理』ではない。『まずくさせない料理』であるということを。
まずくさせないためには、『鮮度を維持すること』に全神経を集中することだ。どんな調理技術をもってしても、素材そのものの味は隠し切れない。

 

 

 

 

古き良き根室、私の懐かしさ

子供の頃おふくろに、“朝ごはんの汁物に釣っといで”と朝5時に起こされて前浜の岸壁に〈こまい〉を釣りにいきました。竹竿に綿糸、おもりは錆びた五寸釘でした。

錦模様の三平皿に、時には〈カジカ〉時には〈花咲がに〉が・・・・・・
いつだって大盛り、はみ出していました。母さんは、父さんの獲ってきた秋鮭(あきあじ)を近所に配っては、替わりに野菜をもらってきました。

 

石狩汁のできあがり。

 

『ふうふう・・・・・ん!』最後まで飲み干す父さん。
まだ台所にいる母さん・・・・・・

花まるの汁もの、古き良き根室、私の懐かしさ・・・・・・・

 

 

新商品を創る「春わかめの味噌汁」

ただの「わかめの味噌汁」では売れないだろう。何の価値もなく家庭の延長でしかない。

この時季は魚では季節を表現できる商品がなかなか見つからない。

 

「春わかめ」なら季節に合う。3月末頃までの一瞬しかないので、付加価値がある。
テストすると「磯のかおり」がした。「フレッシュ」な感じがした。
わかめはなじみの強い商材なので、“ちょっと違うわかめ”を伝えるために器は陶器の方が良い。“豆腐を入れた方がいいのでは?”と言われたが、入れると普通の味噌汁と変わらないようになるので入れない方が良い。わかめのフレッシュさが強く、豆腐を入れなくても充分たえられる。「たっぷりの味噌汁」と表現することで訴求力を強めた。

 

最初60gでテストした。もっといっぱい入れた方が良いと思った。100gにしようと思ったが、具だくさんすぎて汁気がなくなりそうなので80gにした。

“エッ、こんなに入っているの”と感じてもらうことで「お値打ち感」を伝えようと思った。POPは少し大きくして、他の汁物POPと違う緑色(わかめ色)を足した。付加価値が伝わりづらいわかめを大きさと色で訴求力を強めた。

 

こんな要素を考えて創られた「春わかめの味噌汁」です

価値÷価格が大きければ大きいほど「お値打ち感」が出るわけです。感動レベルが高いわけです。この時点で原価は関係ありません。お客様が買ってくれなければ原価割れで損をしようがどうであろうが関係ありません。付加価値を高め、それをお客様に強く訴求し、お客様と店が喜ぶ最高の1点を見つける・・・・・・なかなか難しい作業です。